巨人V8の頃といえば、長島選手も全盛期を過ぎていました。私の数少ない後楽園球場での観戦でも、王選手の鮮やかなホームランは見たものの、長島選手のホームランは観られませんでした。何かの機会に貰った指定席が3塁側で、逆にサードゴロをファンブルして内野安打にしてしまった時の強烈な野次をよく覚えています。
そうであっても、少年向けの野球読本には必ず王、長島が出てきて対談しながら基礎を教えていました。
そのような中、当時は天性の長島、努力の王というのが一般的な捉え方。本の中でも、グローブひとつにしても、長島はいつも新しいのに次々と変えていくのに対し、王は自分で繕いながら長く使うと紹介されていました。
ただ、そのような数十年の認識を一変させるドキュメントが、数年前にNHKで放映されました。
ドキュメントと言っても、実際には作り手の味付けが多分に入りますから、ある程度は差し引くことが必要なかなとも思いますが、王さんが自ら証言している事からも、実は天性の王に努力の長島のほうが正解に近いようですね。
それを長島選手は、当時はできるだけ見せないようにしていたと。
そして今は逆に、同じようなリハビリの環境下にある人に勇気をあたえるために、あえて今の自分を見て貰いたいとも語っていました。
思えば、少年時代の思いをそのまま壊されずに来た、私たちの世代はつくづく幸せな世代だと思うのです。