コンクールのテープを聞いて、耳に残ったのがアナウンスの「交響曲第5番」という声。それで、そのレコードが家にあるのかと親に聞けば、当然「これじゃないの?」と出てくるのはベートーヴェン。
溝から判断して第4楽章のところに針を落とすと、聞こえてきたのは、とても明るい調子の曲。「違う、これじゃない」というと、「5番と言っても誰の?」という具合の会話。
高らかな勝利の楽章のベートーヴェンと、謎を含んだ少々いびつな行進曲風のショスタコーヴィチの4楽章の違いをこうして味わいました。
それで友人から借りて初めて聴いたレコードがバーンスタイン・ニューヨークフィル。曲は同じはもちろんですが、ここで4楽章のテンポがまるで違うのに驚いてしまいました。
その後、名盤はムラヴィンスキーなんだ、でも今は廃盤で売っていない、とかでビクターへ何度も問合せたりしているうちに再発売が決まったり。
ところで謎の部分は、まだ時代が近すぎて証言できない人もいるのかもしれません。いつかアシュケナージ氏の指揮の放送でも、ゲストが「当時はいろいろあったんです。」と言葉を飲み込んでいました。
またいずれ新たな話がでてくるのでしょうね。