第九が始まるのは午後10時半。
ところで今回で全九は10回目ということで、特別な企画として、第九はマーラー版だったのです。
通常の楽譜と比べてどこが違うのかというのを、最後の休憩前のトークで、金管の奏者の人による吹き比べがありました。
ようするに、ベートーヴェンの時代、まだ金管楽器の出せる音域が限られていました。マーラーは、おそらく本来ベートーヴェンが表現したかったのは、このような音であろうと、その後の改良された楽器で、やむなく消していた(と思われる)音符を再現して楽譜にしたのです。
そして音符だけでなく編成もひときわ大きくなりました。ティンパニももう一人。そして管楽器はほぼ2倍、本来なかったチューバが追加、弦楽器もひと回り多くなるというもの。それだけになかなか演奏する機会のない楽譜なのです。当然コストの問題もあって、今日聴いた人はおそらくは最初で最後とあろうとも!
それでは、それだけすごい効果かというと、それがそれほどでもないという説明も。そもそも増えたティンパニやチューバの出番はほんのわずか。最大の音量を出したいところだけに、それだけの編成をそろえたという事なのですが、それをいったらミもフタもないのですが。それもマーラーらしい、などと言ったら怒られますね。
たしかに、総勢での音はずしんと重い音でした。終演時はは場内大興奮で、ステージに向かって大賛辞で相当なスタンディングですから、マーラーのことはちょっと失念。
コバケンさんは3楽章のような静かなところで、細かい音符を丁寧に浮かび上がらせるのがとても印象に残ります。
こうして開演から11時間近く。演奏時間は約395分、6時間半。新年を迎える10分前くらいに会場を後にした大晦日でした。
これが生涯、最初で最後(と言われた)のマーラー版第九の編成表。管楽器の数に注目。