私はこの事故については、裁判のことはもちろん専門外ですし、鉄道についても当然専門外ですので、あくまで私見になります。
記事にかかれている「ATS」の設置を怠った、というところ。この場合のATSは、赤信号を無視したときに作動するという事ではなく、より進化したATSのことを指します。区間により定められている速度をオーバーしていたときに急ブレーキを作動させるものです。この装置は他の路線では既に設置されていますが、どういう基準で判断されているかは、こちらでは不明です。
新幹線だったらCTC、山手線のような路線ではATCなど、路線の性格、列車密度などで優先的に整備するシステムの選択、方向性が決められているものだと思います。
福知山線の事故現場は、長い直線区間が続いた後、神戸線が通る本線に合流するように曲線で尼崎駅に向かう区間の、曲線が始まったところで発生しました。
曲線を通過するときの速度は、当然直線区間で走行する速度よりも大幅に減速することが定められています。しかも十分に安全を見込んで、物理的に転覆の恐れがある危険な速度よりも、より低い速度に設定されています。しかも、曲線がはじまる地点では既に、安全な速度に落ちていることが大前提になっています。
鉄道会社で運転士として勤務できるようになるまでには、相応の訓練・試験が必要であり、この曲線での減速という大原則を理解していなかったとは、とても思えません。
ある意味、鉄道会社の側にたって考えるならば、今回の事故を予見できたかというと、「出来なかったと」なるのが、その「当時」の常識からすれば妥当とも言えなくもありません。
ところが、今回の裁判の報道の中で、会社側に対し教育を「精神論を優先し・・」との記述が見えました。50年以上経て、状況が全く変わった中で、新たにそのような視点での批判がなされたことになります。(続く)