さいたま市の川合運輸株式会社です

2012年7月6日Daily Archives

JR福知山線尼崎脱線事故

JR福知山線の尼崎脱線事故の歴代の社長の責任を問う公判が始まったとのニュースがありました。
列車を自動的に停めるための装置の設置を、利益を優先して怠ったという責任を問うものです。
装置はAUTO TRAIN STOPを略してATSといいます。これはもともと、うっかりとして信号の見落とし、止まらなければならない赤信号の地点を通りすぎてしまった時に、自動的に急ブレーキを作動させるものです。

例えば、単線の線路で、行き違いの駅で、前方から列車がこちらに向かって走行しているときに、駅の出発信号機が赤を示しているとします。ここを止まらずに行き過ぎた場合には、列車は正面衝突をしてしまいます。こういうこと未然に防ぐための装置です。

この装置が採用されるようになったのも、戦後、悲惨な犠牲者を出した鉄道事故が発生してからの事です。それまでは技術陣が設置を主張しても、「貴様は安全を機械に頼ろうとするのか!」と、あくまで「精神論」で反対されたとか。

さて、福知山線の事故に至る、直接の経緯は、おそらく今までになかった事と思われます。事故発生直前の速度は時速130kmほどと聞いています。性能が良くなった昨今の電車と言えども、アクセルを踏んで吹っ飛ばすというようなクルマとは違います。相応の時間を加速する意思をもってコントローラーを操作しなければ、そこまでは速度はでません。JRの場合、新幹線以外の在来線では130km出す列車は、特急列車のごく一部でしかも区間も限られています。

要するにそれまでの、「極稀に起こる信号や速度制限指示の見落としなどによるミス」による事故を防ぐための措置、という範疇の事故ではないと思われます。

停止位置をオーバーしてしまった事、それにともなう遅延、そしてそれが報告され、それなりのペナルティを課されるという精神的苦痛が、正常な判断をできなくしてしまったという状況であったと思われます。

そうであるならば、亡くなった運転士の方の、適性・資質にも問題があったと思われます。ただ、世代がわかれている職場。昔の世代ならば我慢できたことが、若い世代の人には受け入れがたいという事もあると思いますし、そのあたりの事情は部外者には全くわかりません。背景から考えるのも限界があります。 (続く)